【日記】プロジェクトブック

| 2008/05/26

テスト前に限って、突如として部屋を掃除し始めるのは私だけではないはずだ。
逃げるというのは、追われているから成立するのだ。
正当化の鬼である。
この国では、この鬼をアホと呼ぶ。



課題に追われて、それどころではないはずなのに「プロジェクトブック」を読み返す。

この本にはプロジェクトに関する63のキーワードが簡潔に書かれている。
実に当たり前のことが、実に分かりやすく書かれている。
当たり前ではあるが、これがなかなか奥深い。ように感じる。

僕もこんなアホ面をしながら、
プロジェクトリーダーという立場を約1年間させてもらっている。
実はホヅプロというプロジェクトに参加するまで、
僕はプロジェクトというものを経験したことが無かった。

初めて「プロジェクトブック」を読んだのはホヅプロに参加する前であった。
正直、その時はよく理解できなかった。
というより実感として伝わってこなかったのだが、今回は違った。

プロジェクトは生き物のようだなと時々感じることがある。
自分の思い通りには、まず動いてくれない。
そんなことは皆無と言っていい。
参加者のために、参加者によって動かされているのだ。
リーダーとは、そんな参加者達を様々な方向から様々な方法を使って、
ひたすら煽り続けるだけの存在であるような気がする。
本当は違うのかもしれないが、少なくとも僕はそれしかしていない。

僕はこのプロジェクトというものが、いつの間にか大好きになっている。
その一番の理由は、同じ目標のもとで様々な人と関わることができるということだ。
違う考えを持ったたくさんの人達と、同じ目標に向かって熱中できることに醍醐味がある。

最近、学校の設計課題が極端につまらなく感じるのは、この違いにあるのだと思う。
設計課題でも、自分は天才ではあるまいかと感じられるアイデアが浮かんで、
寝ることも忘れて熱中するという経験も無くはないが、所詮は机の上の話。
喜ぶのも悔しい思いをするのも自分だけで、結局は自分のための設計でしかない。
何よりプロジェクトほどのリアリティがない。

一方で、プロジェクトには参加者がいて、主催者や関係者がいる。
驚くことに、ホヅプロには施主さんまでいてくれる。
自分以外の人と多く関わることは、それだけ思い通りにいかないことも増えるが、
そこから得るやりがいや達成感も、一人で行うのとは比較にならないほど大きい。

「プロジェクトブック」は、そんなプロジェクトの楽しさを再認識させてくれる本だ。

ごく当たり前のことだけど、とても大切なこと。
建築だけに限らず、他人と関係しながら物事を進めるための約束事。
つまり、社会のどんな場面にも必要なスキルが載っている。
これからも何かに行き詰った時には読み返したい本だ。

そんなことを、アホ面は課題に行き詰りながら考えた。


ホヅプロのリーダーの人

内田